産廃収集運搬・法人成りと新規許可

個人の産廃許可は、法人成りした会社でも使える?
フローチャートで確認

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社長もトラックも同じ。会社を作ったら、個人の許可証で運べる?

想定されるご相談

個人事業主として産廃収集運搬業の許可を持っています。今度、株式会社を作ることになりました。仕事も車もそのままなので、許可証の名前を会社名に変えればよいのでしょうか。取引先からは、来月から会社名で契約したいと言われています。

個人の許可は会社では使えません。法人として新規許可が必要です

社長やトラックが同じでも、個人と法人は別の事業者です。個人の産廃収集運搬業の許可を、新しく設立した会社がそのまま使うことはできません。許可証の名義変更ではなく、法人として新規許可を申請します。

会社を設立した日や、法人の申請書を提出した日から運べるわけではありません。法人が他社の産廃を受託して運ぶのは、必要な法人の許可を取得してからです。会社設立、個人の仕事を終える時期、法人で運搬を始める時期を、併せて考えておきましょう。

法人成りで確認すべき3つのポイント

  • 誰が契約し、誰の仕事として運ぶか契約した事業者と、実際に受託運搬する事業者を確認します。法人の仕事を、社長個人の許可証で運ぶことはできません。
  • 法人の許可が出るまでの予定個人の許可期限、講習の修了証、申請の予約、車両の切替えを確認します。法人の新規申請には審査期間があります。
  • 個人で持っている許可の地域埼玉県以外の許可も使っているなら、法人についても運ぶ地域に必要な許可を準備します。個人の許可は自動では引き継がれません。

法人成りの準備をフローチャートで確認

個人の産廃許可を、新しく作った会社がそのまま使うことはできません。会社の設立状況、許可を待つ間の仕事、使う車両について、2〜3問に答えると、必要な手続と注意点を確認できます。分からない場合もご相談いただけます。

フローチャート:個人の許可から法人へ切り替える準備

6とおりの結論を、まとめて見る
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? これから設立する法人の許可が出るまでは、個人の仕事を続ける予定ですか? 個人の仕事を続けたい個人で登録している車を、法人でも使う予定ですか? 同じ車を使う予定

    同じ車は重複登録できません。個人から法人への切替え時期を相談しましょう

    • 埼玉県では、個人の事業に登録したまま、同じ車を法人にも登録することはできません。個人側の車両変更届と、法人で使い始める時期を申請先へ相談してください。
    • 法人は新規許可が出てから受託運搬を始めます。車両を切り替える間も仕事を続けられるとは限らないため、取引先と運搬の予定を調整する必要があります。
    • 社長個人の車を会社が借りる場合は、契約や法人による独占継続使用などの条件を確認します。会社設立と許可の準備から、一緒にご相談いただけます。
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? これから設立する法人の許可が出るまでは、個人の仕事を続ける予定ですか? 個人の仕事を続けたい個人で登録している車を、法人でも使う予定ですか? 法人には別の車を用意する

    個人の仕事を続ける間も、法人では許可が出るまで運べません

    • 個人が契約・受託し、個人事業として運ぶ仕事に限ります。個人の許可期限・地域・品目と車両の使用条件も確認してください。会社の仕事に個人の許可証を使うことはできません。
    • 法人用の車は、法人の使用権と登録条件を確認して、新規許可の準備をします。別の車を用意しただけで、法人が運べるようになるわけではありません。
    • 個人の仕事をいつ終え、法人でいつ始めるかも一緒に確認できます。会社設立の登記と産廃許可を、まとめてご相談いただけます。
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? これから設立する法人の許可が出るまでは、個人の仕事を続ける予定ですか? 運搬はいったん休む予定

    法人での運搬は許可後です。許可待ちの間の対応を取引先と相談しましょう

    • 会社設立の登記と、法人の新規許可を準備します。申請した日から法人で運べるわけではないため、法人の許可が出るまで運搬を休む予定を、取引先に相談してください。
    • 法人が運べるようになるまで、排出事業者が別の許可業者へ直接委託する方法もあります。無許可の法人で受託して、他社へ運ばせる案内ではありません。
    • 個人の産廃収集運搬業を廃止する場合は、廃止届が必要です。個人の事業をどうするか決められない場合も、設立・許可の予定と併せてご相談いただけます。
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? もう設立している会社名義の産廃収集運搬業の許可は、すでに取得していますか? 法人の許可は取得済み

    法人の許可範囲と、契約・車両の切替えを確認してください

    • 運ぶ地域・品目が法人の許可に含まれるかを確認してください。
    • 排出事業者との契約、車体表示・携帯書類、マニフェスト等も、実際に運ぶ法人と一致させます。
    • 個人の事業を廃止した場合は、廃止届が必要です。ほかの県の許可もそれぞれ確認します。
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? もう設立している会社名義の産廃収集運搬業の許可は、すでに取得していますか? まだ取得していない法人の仕事として、すでに他社の産廃を運んでいますか? 法人として運んでいる

    法人での受託運搬を止め、早めに状況をご相談ください

    • 個人の許可証があっても、法人の無許可での受託運搬を認めるものではありません。申請中でも同じです。
    • 契約書や請求書の名義を個人に変えるだけでは済みません。誰が受託し、実際に運んだかを確認する必要があります。
    • 自分だけで対応を決めず、申請先への確認も含めてご相談ください。
  • 法人成りする会社は、もう設立していますか? もう設立している会社名義の産廃収集運搬業の許可は、すでに取得していますか? まだ取得していない法人の仕事として、すでに他社の産廃を運んでいますか? まだ法人では運んでいない

    法人の受託運搬は、法人の許可を取得してから始めます

    • 法人として新規許可を申請します。社長やトラックが同じでも、個人の許可を会社が使うことはできません。
    • 個人の仕事を続ける場合は、個人が本当に契約・受託・運搬することに加え、個人の許可期限と車両の使用条件を確認します。
    • 会社を設立した日だけで切替え日を決めず、法人の許可取得を含めて予定を調整します。

普通産廃収集運搬業・積替え保管なしで、他社から委託を受けて運ぶ場合を対象としています。会社設立日や申請日から法人が運べるわけではありません。会社自らが排出した産廃の運搬は、この図とは区別してください。

屋号を会社名に変えるだけでは、なぜ駄目?

屋号は個人事業の呼び名で、許可を受けているのは事業主本人です。一方、株式会社などを設立すると、その会社が事業を行います。「同じ人が経営しているから」という理由では、個人の許可を会社へ移せません。

すでにある法人の会社名を変える手続と、個人から新しい法人へ事業を移す手続も違います。法人成りの産廃許可は、名称変更の届出や個人許可の更新で済ませず、法人の新規申請として準備します。

出典:奈良県「収集運搬業の許可申請の手引き」(PDF)冊子9ページの法人成りQ&A。埼玉県の手引8ページも、本人が代表者になる法人の「新規許可申請」として講習の特例を案内しています。屋号は埼玉県Q7を参照。以下の書類・期間は埼玉県の扱いを説明します。

会社設立と法人の許可は、どの順番で準備する?

設立前から、事業目的、講習、車両、申請先を確認できます。会社の設立後は法人の資料をそろえて新規許可を申請し、許可取得後に法人での運搬を始めます。会社設立日を、そのまま産廃の仕事の切替え日にしないことが大切です。

会社設立から、法人での受託運搬を始めるまで
準備・手続会社設立前設立後〜申請県の審査中法人の許可後
会社設立・事業目的定款・登記の準備設立登記――
講習・財務・車両使える資料を確認法人の書類を確定補正があれば対応車両等を最終確認
法人の新規許可申請先・予約を確認法人として申請審査
標準43営業日
法人の許可取得
契約・運搬の切替え取引先と時期を相談法人では受託運搬不可申請中も受託運搬不可契約等を確認し
法人で運搬開始
個人の事業・許可続ける場合は、個人の有効な許可・契約・実際の運搬・車両の条件を確認事業を廃止したら
個人の廃止届
各列は手続の区分で、列幅は実際の期間を表しません。43営業日は埼玉県の標準処理期間で、準備・予約待ちや補正に要する期間は別です。個人の営業を続けられるか、同じ車両をどう切り替えるかは個別の確認が必要です。仕事が途切れないことを保証する工程表ではありません。

出典:埼玉県Q1・Q5。窓口・郵送とも申請予約が必要です。標準処理期間は許可を約束する日数ではなく、補正期間を含みません。目的の準備は定款と目的変更登記の記事、必要書類は新規申請の書類の記事で説明しています。

法人の許可を待つ間は、個人の仕事として運べる?

会社を作っただけで、個人の事業まで自動的に廃止されたことにはなりません。ただし、個人の許可が有効であることに加えて、本当に個人が受託して運ぶ仕事なのか、使う車両の条件を満たせるかを確認する必要があります。個人の許可証を借りて、法人が運ぶ形にはできません。

例えば、個人事業の「青葉運搬」が「株式会社青葉運搬」を作った場合で考えてみましょう。以下は架空の例です。

個人の仕事か、法人の仕事かを確認する架空例
状況契約・運搬する事業者必要な対応
会社を作ったが、個人の事業も続ける個人が契約し、個人事業として運搬する。個人の許可の有効期間・地域・品目と、車両の使用条件を確認。同じ車両を個人と法人へ重複登録することはできないため、登録の切替え時期を窓口へ相談する。
法人で受託し、個人の許可証を使う法人の仕事なのに、許可は社長個人のもの。そのまま運べない。法人の許可前なら法人での受託運搬をせず、取引先・申請先と対応を確認する。
法人の許可が出て、法人へ切り替える必要な許可を取った法人が契約し、運搬する。法人の許可証の範囲、契約、マニフェスト、車体表示・携帯書類等を確認。個人事業を終える場合は廃止届も行う。

許可が出るまでは、排出事業者が別の許可業者へ直接委託する方法も検討します。無許可の法人が受託し、後で個人や他社へ運ばせればよい、という案内ではありません。法人の許可取得までの仕事を、契約先と早めに相談してください。

出典:埼玉県「排出事業者の処理責任」の許可業者への委託・書面契約、県のFAQ・Q1-4〜Q1-5。個人・法人の判断を、請求書や許可証の名義だけで済ませることはできません。

個人のときの講習やトラックは、そのまま使える?

本人が受けた更新講習の修了証も使える?

埼玉県の手引は、産廃収集運搬業の許可を持つ個人事業者が、本人を代表者とする法人を新たに設立する場合、本人が5年以内に受講した更新修了証で法人の新規申請ができると案内しています。「法人は新規申請だから、必ず新規講習から受け直す」とは限りません。

これは講習修了証を使える条件の特例であり、個人の許可を法人へ引き継げる制度ではありません。受講した人、法人での役職、修了証の日付・課程、過去に使った申請などを確認します。代表者を別の人にする場合や、他県にも申請する場合は、同じ条件で使えると決めつけないでください。修了証を見ても判断がつかなければ、一緒に確認しましょう。

社長個人のトラックを、会社でも使うには?

車検証の使用者が社長個人であっても、法人が借りて使用するための契約・申出書などをそろえて申請できる場合があります。ただし、車を貸せることと、個人の産廃許可を貸せることは違います。埼玉県では、すでに個人の事業で登録している車両を、登録したまま法人にも重複して登録することはできません。

借りた車両は、法人が独占して継続的に使用でき、貸主が使用しないなどの条件を満たす必要があります。自動車検査証記録事項の所有者・使用者と、法人の使用権を確認します。個人側の登録から車両を外すための変更届、個人事業も終える場合の廃止届は区別し、法人への登録と実際の使用を切り替える時期を窓口へ相談します。

法人の決算書がまだなくても申請できる?

設立直後で最初の決算を迎えていない法人は、開始貸借対照表などで財務の状況を説明します。個人の確定申告書をそのまま法人の決算書の代わりにするのではありません。定款、法人番号提供書、役員等の書類なども、法人の申請として用意します。財務実績・計画書や診断書の要否は県の条件で確認します。

出典:埼玉県手引(令和8年10月版・Word)5〜8ページ、12〜13ページ。講習の法人成り特例は8ページ・注2。車両・財務の詳細は登録できる車両の記事、財務書類と診断書の記事、新規講習と更新講習の比較も参照してください。

個人の許可は、いつ廃止する?

個人の産廃の事業を実際に廃止した場合は、廃止届が必要です。個人の場合は、廃止の日から10日以内に届け出ます。埼玉県では、普通産廃の変更・廃止届出書と許可証の原本を提出する案内です。

法人の許可を待ちたいという理由で、すでに廃止した個人事業の届出を遅らせてよいわけではありません。逆に、まだ個人として仕事を続けるつもりなのに、会社設立日だけを理由に先に廃止手続をすることも避けたいところです。実際の廃止日と、法人の申請・車両の切替えの順序を、事前に確認します。

複数の県で個人の許可を持っていれば、法人の許可も個人の廃止届も、それぞれの申請先で確認が必要です。一つの県で法人の許可が出ただけで、個人のほかの県の許可まで会社が使えるわけではありません。

出典:埼玉県「変更届出等について」の廃止届出、県の変更・廃止届出手引1〜2ページ。法人の新規申請と、個人の事業廃止に伴う届出を区別します。

法人成りと産廃許可の用語

法人成り
個人で行っていた事業を、設立した会社などの法人で行うようにすることです。産廃許可が自動で会社へ移るという意味ではありません。
新規許可申請
新しい事業者として許可を受ける申請です。法人成りした法人は、社長個人が許可を持っていても、法人として申請します。
屋号
個人事業で使う呼び名です。屋号自体が個人とは別の法人になるわけではありません。
排出事業者
産業廃棄物を生じさせた事業者です。処理を委託する場合は、許可を持つ収集運搬業者等と必要な契約を結びます。
廃止届
許可を受けた事業を廃止したことを届け出る手続です。法人の新規許可を申請する手続とは別です。

会社を作る前から、産廃の許可まで相談したい方へ

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

「会社を作りたいけれど、産廃の仕事はいつから会社で受ければよいか分からない」という段階からご相談ください。会社設立の登記は司法書士として、法人の産廃許可の準備は行政書士として、併せてご相談いただけます。すでに会社を作ったあとでも、今の契約や許可の状況を一緒に確認しましょう。講習を受け直す必要があるか、車両の契約や登録をどうするかも、ご自身で判断しなくて構いません。必要な書類はこちらからご案内します。

普通産廃収集運搬業・積替え保管なし

会社設立と、法人の産廃許可をまとめて相談

個人の仕事を終える時期と、会社で始める時期をどう決めるか。定款・設立登記から、許可・講習・車両・契約の確認まで、分からない段階からご相談いただけます。

法人成り・会社設立と産廃許可の相談・業務案内

法人成りでよくある疑問

代表者が同じでも、許可を取り直す?

法人として新規許可を申請します。経営する人が同じでも、個人と法人は別の事業者です。個人の許可証を会社が使うことはできません。

会社を作った日から、会社の仕事として運べる?

他社の産廃を受託して運ぶ場合、会社設立だけでは足りません。法人の必要な許可を取得し、契約・車両などを確認してから始めます。申請中でも、許可を取った扱いにはなりません。

更新講習しか受けていないと、新規講習を受け直す?

埼玉県では、産廃収集運搬業の許可を持つ個人が本人を代表者とする法人を新たに設立する場合、本人が5年以内に受講した更新修了証で新規申請できます。役職、課程、日付、申請先ごとの条件を確認します。

会社が自分の元請工事で出した廃材を運ぶ場合も同じ?

この記事は、他社から処理を委託されて運ぶ場合を説明しています。会社自身が排出事業者となる廃材を自ら運ぶ場合は区別して確認します。建設業許可と産廃許可の違い、下請の廃材運搬の記事も参照してください。

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