解体・リフォーム現場の下請運搬
下請で入った現場の廃材を、
自分の車で運べますか?
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軽トラックに載る量なら、持ち帰ってもいい?
リフォーム会社の下請で内装を撤去しました。元請から、石膏ボードや床材を自社の軽トラックで処分場へ運ぶように言われています。廃材は少量で、車も運転手も自社です。産廃収集運搬業の許可がなくても運べますか。
原則として、収集運搬業の許可が必要です
自社の車と従業員で運んでも、下請の「自己運搬」にはなりません。建設工事で出た廃棄物の排出事業者は、原則として元請業者です。下請業者が元請の廃棄物を運ぶため、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。許可なしで運べる例外はありますが、工事の種類、金額、量、運搬先、契約書などの条件をすべて満たす場合だけです。
現場を出る前に確認する3点
- 発注者から直接工事を受けた会社はどこか発注者との契約が元請会社にあり、自社はその会社から工事を受けたのであれば、自社は下請です。
- 自社に収集運搬業の許可があるか許可証に記載された品目を確認し、廃材を積む都県・下ろす都県の許可がそろっているかを確認します。
- 例外を使うなら、6条件と書面がそろうか「少量」「元請から頼まれた」という事情だけでは、例外にはなりません。
自社の車でも「自己運搬」にはなりません
判断するときは、車の名義ではなく、誰が排出事業者かを確認します。
建設工事で出た廃棄物は、発注者から工事を直接請け負った元請業者の廃棄物として扱います。実際に壁や床を撤去したのが下請業者でも、排出事業者は原則として元請業者です。
そのため、下請業者が自社の軽トラックやダンプに廃材を積むと、他社である元請業者の産業廃棄物を運ぶことになります。車検証の名義が自社で、運転するのも自社の従業員だとしても、この点は変わりません。
| 工事の立場 | 誰の廃棄物か | 収集運搬業許可 |
|---|---|---|
| 発注者から直接工事を受けた元請 | 自社が排出事業者となる廃棄物 | 自ら運ぶなら原則不要。自己運搬の基準は守る |
| 元請から工事を受けた下請 | 原則として元請の廃棄物 | 自社車両で運ぶ場合も原則必要 |
出典:埼玉県「産業廃棄物に関するよくある質問」Q10-1。
許可なしで運べる例外は、6条件をすべて満たす場合です
廃棄物処理法には、下請業者が許可なしで運べる例外があります。ただし、少量の廃材を近くへ運ぶだけで使える制度ではありません。次の6項目を現場ごとに確認します。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について」第十六。
| 確認項目 | 条件 |
|---|---|
| 工事 | 解体・新築・増築を除く維持修繕工事で、発注者から元請への請負代金が500万円以下。または、引渡し後の瑕疵補修工事で、請負代金相当額が500万円以下 |
| 廃棄物 | 特別管理廃棄物ではない |
| 1回の量 | 巻尺などで測って1立方メートル以下と確認できる、または容量が明確な容器で運ぶ |
| 運搬先 | 現場と同じ都道府県または隣接都道府県にあり、元請が所有するか、使用する権原を持つ施設へ運ぶ |
| 途中の保管 | 運搬の途中で保管しない |
| 契約と書面 | 元請と一次下請の書面による請負契約で下請が自ら運ぶと定め、所定の別紙や契約書などを車両に備える |
500万円は、自社が元請から受け取る下請代金ではありません。
発注者から元請業者への請負代金で確認します。正当な理由がないのに契約を分けて500万円以下にしても、一つの契約として扱われます。
解体工事は、500万円以下でも例外の対象になりません
「500万円以下なら運べる」と覚えてしまうと、解体現場で誤った判断をします。
例外の対象となるのは、解体・新築・増築ではない維持修繕工事か、引渡し後に行う瑕疵補修工事です。建物の全部または一部を解体する工事は、金額が500万円以下でも、この維持修繕工事の例外には含まれません。
たとえば、店舗の内装を撤去する工事は、工事名に「リフォーム」や「原状回復」と書いてあるだけでは判断できません。実際に何を撤去し、工事全体が解体工事に当たるのかを確認します。
持ち帰り先は、どこでもよいわけではありません
運搬先は、現場と同じ都道府県か、隣接する都道府県にある施設です。その施設を元請業者が所有しているか、使用する権原を持っていなければなりません。
元請が処分業者へ委託する場合は、元請の委託契約でその施設を使えることと、搬入先を確認してください。どの処分場でもよいわけではありません。
下請業者の資材置場へいったん持ち帰り、後日まとめて運ぶ方法は、「途中で保管しない」という条件を満たしません。
口頭の指示では足りません。契約書と別紙を車に備えます
元請から「帰りに持っていって」と言われただけでは、例外は使えません。元請と一次下請の間の書面による請負契約で、下請が自ら運ぶことを定めます。二次下請と一次下請の契約は、この例外の請負契約には含まれません。
基本契約書を直しにくい場合は、発注書や注文書が請負契約の一部になっていれば、そこへ記載する方法もあります。さらに、個別の工事ごとに別紙を作り、次の事項を確認できるようにします。
- 元請・下請・発注者と現場会社名、住所、電話番号、廃棄物が出る現場の所在地を記載します。
- 廃棄物、量、運搬先種類、1回当たりの量、運搬先、元請が施設を使えることを記載します。
- 期間、運転する人、車両運搬期間、従業員名、車両番号と、工事・金額の条件を記載します。
運搬する車両には、別紙またはその写しと、基本契約書の写しなどを備えます。車両の両側面には、事業者として産業廃棄物を収集運搬していることと、下請業者の名称を表示します。
この理由だけでは、許可なしで運べません
| 現場でよくある話 | 確認すること |
|---|---|
| 「軽トラに載る少量だから」 | 1立方メートル以下は条件の一つです。ほかの条件もすべて必要です |
| 「処分費込みで仕事を受けたから」 | 代金の内訳だけで、下請が排出事業者になるわけではありません |
| 「元請に頼まれたから」 | 口頭の指示では足りません。許可による運搬か、例外の書面を確認します |
| 「いつも使う処分場だから」 | 元請の委託先か、元請に施設を使用する権原があるかを確認します |
| 「自社の置場にいったん置くだけ」 | 途中保管をしない条件を満たしません |
廃材を積む前は、この順で確認します
注文書・請書・工事請負契約書を確認し、自社が元請か、一次下請か、二次下請以下かを確認します。
自社の収集運搬業許可で運ぶなら、廃棄物の品目、積む都県、下ろす都県、車両を確認します。
許可なしの例外を使うなら、工事・金額、廃棄物、量、運搬先、途中保管、契約書の6条件を確認します。
元請と書面を交わし、別紙、契約書などの必要書面を車両に備え、車両表示をしてから運搬します。
少量でも、契約書と運搬先まで確認してください

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
軽トラック1台分であれば、現場ではそのまま運べそうに感じます。ただ、下請の運搬は量だけで決まりません。注文書を見て自社が何次の下請かを確認し、運搬先と書面までそろっているかを確かめてください。毎回この確認をするより、継続して運搬する会社は収集運搬業の許可を取ったほうが実務に合うこともあります。
相談前に、分かる範囲でご用意ください
契約関係と運搬内容から、必要な許可を確認します
- 発注者、元請、自社の関係が分かる注文書・請書・工事請負契約書
- 工事の内容と、発注者から元請への請負代金
- 廃材の種類、1回に運ぶ量、積む現場、運搬先
- 使う車両と、現在持っている産廃収集運搬業許可
下請の現場で継続して廃材を運ぶなら、例外に当てはまるかだけでなく、収集運搬業の許可を取る場合の品目・都県・車両も一緒に確認します。
産廃収集運搬業許可のサポート内容を見る許可の要否は、工事の契約関係、廃棄物の種類・量、運搬先、保管の有無により変わります。先に読んでおきたい記事
建設業許可があれば、廃材も運べますか?
建設業許可は工事を請け負うための許可で、他社の産業廃棄物を運ぶ許可ではありません。元請の自己運搬と下請の運搬の違いは、建設業許可と産廃収集運搬業許可の違いで確認できます。
産廃を運ぶには、どんな資格や免許が必要?
会社が受ける収集運搬業の許可、JWセンター講習の修了証、運転者の免許は別です。産廃の資格・免許の記事で違いを確認できます。
関連するQ&A
一次下請なら、必ず例外を使えますか?
いいえ。一次下請であることは契約に関する前提の一つです。工事の種類と金額、廃棄物、1回の量、運搬先、途中保管、書面の条件をすべて満たす必要があります。
二次下請が許可なしで運ぶことはできますか?
環境省のQ&Aでは、この例外の請負契約は元請業者と一次下請負人の間の契約を指し、下請負人同士の契約は含まないとされています。二次下請以下が運ぶ場合は、収集運搬業許可の範囲を確認してください。
1回1立方メートル以下なら、何回運んでもよいですか?
量の条件だけを満たしても例外にはなりません。複数回運ぶ場合は、各回が1立方メートル以下と分かるように別紙へ記載し、ほかの条件もすべて満たす必要があります。
例外で運ぶとき、マニフェストは誰が交付しますか?
処分を委託する場合のマニフェストは、排出事業者である元請業者が交付します。例外で下請が運んでも、下請が処分まで自由に委託できる制度ではありません。
元請との契約書に「廃材処分を含む」とあれば足りますか?
「廃材処分を含む」と書いてあるだけでは、例外の書面として十分とはいえません。下請が自ら運ぶこと、個別工事の廃棄物、量、運搬先、期間、従業員、車両などを確認できる書面が必要です。