産廃収集運搬・新規許可/必要書類
赤字や債務超過でも産廃の許可は取れる?
フローチャートで確認
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赤字の決算でした。産廃の許可は難しいでしょうか?
リフォーム会社を経営しています。産廃収集運搬業の許可を取りたいのですが、前の決算は赤字でした。税理士からは、債務超過にもなっていると言われています。「中小企業診断士の診断書が必要」と聞きましたが、いつも決算を頼んでいる税理士では駄目なのでしょうか。埼玉県と東京都で申請を考えています。
赤字だけで決まらず、申請先によって追加書類も違います
赤字や債務超過でも、それだけで一律に不許可になるわけではありません。ただし、産廃の収集運搬を継続できる財務状況かという審査があり、状況に応じて計画書や専門家の診断書などを提出します。必要な書類を出せば必ず許可される、という意味ではありません。
診断書が必要になる条件も、作成できる人の資格も、自治体によって違います。埼玉県は2026年10月から、財務診断書の作成者に税理士を追加しました。一方、群馬県は中小企業診断士による経営診断書を指定しています。まず埼玉県の判断を説明し、後半で東京都・千葉県・神奈川県・群馬県・栃木県との違いを比較します。
財務書類を用意する前の確認ポイント
- 赤字なのか、債務超過なのか赤字は損益計算書の利益、債務超過は貸借対照表の資産・負債で確認します。
- どこの許可を申請するか埼玉県の判断を、東京都や他県の申請にそのまま使うことはできません。複数の許可を取る場合は、申請先ごとに確認します。
- 計画書か、資格のある人の診断書か自社でも記入できる書類と、有資格者による作成が必要な書類は別です。必要な書類と作成者を確かめてから依頼します。
埼玉県の財務追加書類をフローチャートで確認
埼玉県で申請する、決算を終えた法人向けです。許可の可否ではなく、財務状況に応じた追加書類を確認します。数字の見方が分からないときも、一緒に確認できます。
フローチャート:債務超過と財務の追加書類
図の選択肢を押すと、その先が開きます。途中の回答も変更できます。
4とおりの結論を、まとめて見る
直近の決算で、負債の合計が資産の合計を上回っていますか? はい、債務超過です直近の決算の「経常利益」はマイナスですか? はい、マイナスです直近から数えた3年分の経常利益を合計すると、マイナスですか? はい、合計もマイナスです
財務実績・計画書と、有資格者が作る財務診断書を提出します
- 債務超過で、直近も3年分通算も経常損失の場合は、2種類の書類が必要です。
- 埼玉県の財務診断書は、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかが作成し、資格を証する書類も添えます。診断書の提出だけで許可が保証されるものではありません。
直近の決算で、負債の合計が資産の合計を上回っていますか? はい、債務超過です直近の決算の「経常利益」はマイナスですか? はい、マイナスです直近から数えた3年分の経常利益を合計すると、マイナスですか? いいえ、合計はマイナスではない
直近は赤字でも、通算で損失がなければ計画書を提出します
- 債務超過に加え直近の経常損失があっても、3年分通算で損失がなければ、埼玉県では財務実績・計画書の提出です。
- 決算が3年分未満の場合は現有分で確認します。決算書類・納税証明書などの通常書類も必要です。
直近の決算で、負債の合計が資産の合計を上回っていますか? はい、債務超過です直近の決算の「経常利益」はマイナスですか? いいえ、マイナスではありません
直近の経常損失がなければ、財務実績・計画書を提出します
- 債務超過なので、財務実績・計画書が必要です。直近が黒字でも省略できません。
- このフローでは財務診断書の追加は不要です。計画書の作成者は限定されていません。
直近の決算で、負債の合計が資産の合計を上回っていますか? いいえ、上回っていません
債務超過でなければ、財務実績・計画書と財務診断書は追加不要です
- 埼玉県の財政能力チェックフローによる扱いです。
- 通常の決算書類・納税証明書などは必要です。これだけで許可が決まるわけではありません。
埼玉県の令和8年10月版手引13ページをもとに作成。対象は普通産廃収集運搬業・積替え保管なしの法人申請です。個人事業主と初回決算前の法人は本文を参照してください。他県へはこの条件をそのまま使えません。
赤字でも債務超過とは限りません。黒字でも債務超過はあり得ます
赤字は、一定期間の利益がマイナスになったことを指します。一方、債務超過は、決算時点で負債の合計が資産の合計より多い状態です。「前期は赤字でした」というときも、資産と負債を比べると、債務超過ではない会社があります。
埼玉県の財務追加書類のフローでは、貸借対照表の資産合計と負債合計を比べたうえで、損益計算書の「経常利益」を確認します。「税引後の当期純利益が赤字だった」という話だけでは、追加書類を判断できません。
説明のための架空例で、許可に必要な金額の基準ではありません。埼玉県では、A社は財務実績・計画書と財務診断書の追加なし、B社は財務実績・計画書の提出です。通常の決算書類などは、別に必要です。
負債合計と間違えやすいのが、「負債・純資産合計」です。こちらは資産合計と一致するため、債務超過の確認に使う比較ではありません。純資産合計がマイナスなら、負債が資産を上回っています。
出典:埼玉県・普通産廃収集運搬業の手引(令和8年10月版・Word)13ページ「財政能力」。以下の埼玉県の説明も、この手引によります。
埼玉県は、債務超過と経常利益から追加書類を判断します
対象は、普通産廃収集運搬業・積替え保管なしの法人申請です。新規だけでなく、更新・変更許可の準備でも、財務状況による追加書類の要否を確認します。
| 直近の決算などの状況 | 手引のフローによる追加書類 |
|---|---|
| 債務超過ではない | 財務実績・計画書と財務診断書の追加は不要 |
| 債務超過だが、直近の経常損失はない | 財務実績・計画書 |
| 債務超過で直近は経常損失。3年分通算では経常損失がない | 財務実績・計画書 |
| 債務超過で、直近も3年分通算も経常損失 | 財務実績・計画書と財務診断書 |
3年分通算の経常利益は、それぞれの年の経常利益を合計します。例えば、2期前がプラス80万円、前期がプラス40万円、直近がマイナス100万円なら、合計はプラス20万円です。直近が赤字でも、3年分通算まで赤字とは限りません。決算が3年分に満たないときは、現有分の経常利益で確認します。
決算書類や納税証明書などは、上の追加書類とは別に必要です。利益がゼロの場合など判断に迷うときや、決算後に財務状況が大きく変わったときは、県へ個別に確認してください。ご自身で判断できない場合は、相談の際に一緒に確認できます。
出典:埼玉県手引の申請書類一覧と13ページ。通常の書類一式は新規申請の必要書類、更新は更新申請の必要書類で説明しています。
財務実績・計画書と財務診断書は、役割も作成者も違います
財務実績・計画書は、過去の実績と今後の計画を記入する書類です
埼玉県の様式には、過去の決算実績と今後5年間の計画を記入する欄があります。貸借対照表・損益計算書の数字に加え、経費削減や売上の改善など、債務超過を解消するための具体的な内容を説明します。
この計画書は、作成者の資格が限定されていません。将来の売上や利益についても、何を改善してその数字を見込むのか、具体的な説明を記入します。
財務診断書は、有資格者が計画の実現可能性を診断する書類です
財務診断書には、会社の概要、直近3年分の財務諸表に基づく診断、債務超過の原因、今後5年間の計画の分析、改善策と債務超過を解消できる見込みなどを記載します。計画書と同じ数字を写すだけの書類ではありません。
埼玉県では、中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかが作成し、有資格者の登録書等の写しを添付します。いつも決算を依頼している税理士に相談することもできますが、診断書の作成を引き受けてもらえるか、必要な分析や計画の確認まで対応できるかは、依頼前に相談してください。
税理士が作成者に加わったのは2026年10月からです。それ以前の解説にある「中小企業診断士・公認会計士のみ」という記載とは異なります。現行手引の13ページと財務診断書様式には税理士を含む記載がありますが、巻末チェックリストには追加前の資格表記が残っています。提出時は最新の案内を確認してください。
出典:埼玉県の手引・様式の掲載ページ、令和8年10月版手引13ページ、同手引の財務実績・計画書と財務診断書の様式。
中小企業診断士でないと駄目?6都県の違い
群馬県のように中小企業診断士を指定する県もあれば、税理士や公認会計士も作成できる自治体もあります。名称が似た診断書でも、対象になる条件や記載内容は同じではありません。
| 申請先 | 追加書類を判断するときの違い | 診断書等の作成者 |
|---|---|---|
| 埼玉県 | 債務超過、直近と3年分通算の経常損益で、計画書のみか診断書も必要かを区分 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士。計画書の作成者は限定なし |
| 東京都 | 法人税の納税状況、債務超過、返済不要な負債の有無・額で、説明書等の要否を区分 | 「経理的基礎を有することの説明書」は中小企業診断士・公認会計士・税理士 |
| 千葉県 | 直近の繰越利益剰余金がマイナスなら収支計画書。これは当期の赤字や債務超過とは別の項目 | 書類一覧では収支計画書を案内。診断書の作成資格は別途県へ確認 |
| 神奈川県 | 直前3年間の財務諸表等を用意。赤字・債務超過の場合の追加資料は県へ事前確認 | 追加資料の要否と併せて、作成者の資格も県へ確認 |
| 群馬県 | 3年連続赤字、または直近が債務超過なら5年間の収支改善計画。両方に該当すると経営診断書も必要 | 手引が指定するのは中小企業診断士 |
| 栃木県 | 債務超過と直前期・直前3年平均の当期純利益による区分。経常利益ではない点にも注意 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士、県行政書士会の指定研修を修了した有効期限内の行政書士※ |
※栃木県で診断書を作成する研修修了行政書士は、当該申請書の作成・申請代理をする行政書士とは別人であることが条件です。行政書士なら誰でも診断書を作れる、という扱いではありません。
群馬県の「赤字」は税引前損失を指し、栃木県は当期純利益で確認します。埼玉県の経常利益の数字だけで他県も判断しないでください。また、表の千葉県・神奈川県の欄は、診断書が一律に不要という意味ではありません。個別の提出指示がある場合は、その内容と作成者を確認する必要があります。
出典(2026年10月25日確認):東京都手引12ページ(令和5年11月版)、千葉県の新規書類一覧・更新書類一覧、神奈川県新規手引11ページ・更新等手引11ページ、群馬県令和8年10月版手引4・7〜8ページ、栃木県審査基準10ページ。各自治体への提出前に最新の案内を確認してください。
埼玉県と東京都で、同じ診断書を使い回せる?
同じ会社の決算でも、埼玉県で求められる書類と、東京都で求められる書類は同じとは限りません。東京都の手引では、直近の法人税納税額が1円以上で、直近3年間に未納がなければ、財政能力の追加書類は不要とされています。それ以外の場合も、債務超過の有無や返済不要な負債の内容によって必要書類が分かれます。
申請先ごとの要否、書類名、様式、必要な分析を確認したうえで、共通の資料を使える部分があるかを相談します。「債務超過だから、2か所分とも同じ財務診断書を頼む」と先に決めると、提出先の条件に合わないおそれがあります。診断書の作成者が両方の資格条件を満たしていても、書類をそのまま共用できるとは限りません。
東京都の返済不要な負債については、債権者の意思を確認できる書類等が必要です。「社長から会社に貸しているお金だから、返済不要としてよい」という自己判断はしないでください。
出典:東京都手引12ページ「財政能力」。本文の納税条件は追加書類の区分の説明です。税金の未納への対応全般や、債権放棄等の税務判断を説明するものではありません。
個人事業主や、まだ決算していない会社は?
埼玉県の13ページの財務追加書類フローは法人向けで、個人事業主には、このフローによる追加書類の提出は不要とされています。個人なら財務の確認そのものがない、という意味ではありません。資産に関する調書や納税証明書等は、個人事業主の産廃申請と資産に関する調書で説明しています。
また、初回決算前の新設法人について、埼玉県は財務実績・計画書の今後5年間の計画部分を記入するよう案内しています。過去の赤字決算がなくても、今後の計画を説明する書類は必要です。
出典:埼玉県手引13ページと、公式掲載ページ「財務実績・計画書」。個人事業主の扱いも、他県へそのまま当てはめないでください。
決算書と診断書で使う用語
- 経理的基礎
- 産廃収集運搬業を的確に、継続して行える財務上の基礎のことです。講習の修了や車両とは別に審査されます。
- 貸借対照表(B/S)・債務超過
- 貸借対照表は、決算時点の資産・負債・純資産を示す書類です。負債合計が資産合計を上回り、純資産合計がマイナスの状態が債務超過です。
- 損益計算書(P/L)・経常利益
- 損益計算書は、一定期間の収益や費用、利益を示します。経常利益は本業の利益に受取利息や支払利息などの営業外損益を加減したもの。当期純利益とは別です。
- 繰越利益剰余金
- 過去からの損益や配当などが反映される純資産の一項目です。直近1期の利益や純資産合計そのものではありません。千葉県の収支計画書の要否では、この項目を確認します。
- 財務診断書・経営診断書・経理的基礎を有することの説明書
- 財務状況や今後の改善見込みを説明する書類です。自治体によって名称、必要条件、内容、作成できる資格が違います。
決算書のどこを見るか分からなくても、ご相談ください

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
「赤字と言われたけれど、許可を取れるのか分からない」という段階でも、ご相談ください。ご自身で債務超過かを判断したり、診断書を頼んだりしてからでなくて構いません。申請したい地域と会社の状況から、一緒に確認しましょう。決算書などが必要になったときは、その都度ご案内します。診断書が必要な場合も、申請先の条件と作成者を確認してから進めます。
普通産廃収集運搬業・積替え保管なし
赤字・債務超過が気になる方の産廃許可のご相談
新規申請や更新を考えているけれど、財務書類が不安な方もご相談いただけます。何を用意すべきか分からない状態からでも構いません。
産廃許可の相談・業務案内を見る赤字・債務超過の申請でよくある疑問
赤字が1年だけでも、診断書が必要?
赤字の回数だけでは決まりません。埼玉県では、まず債務超過かを確認し、直近と3年分通算の経常損益で追加書類を分けます。他県では判断に使う利益の種類も違うため、申請先ごとに確認してください。
財務診断書は税理士に頼める?
埼玉県では2026年10月から税理士も作成者に加わっています。東京都も税理士を含みます。一方、群馬県は中小企業診断士による経営診断書を指定しています。必要書類と資格条件を確認してから依頼してください。
前の決算は黒字になりました。もう計画書は不要?
埼玉県では、直近の経常利益が黒字でも債務超過なら財務実績・計画書が必要です。単年度の利益が出たことと、過去からの債務超過が解消したことは別です。
新規だけでなく、更新でも財務を見られる?
更新でも財務関係の書類は確認されます。以前に許可が取れたことだけで、今回の追加書類が不要とは判断できません。更新時点の決算と申請先の案内で確認してください。
診断書を出せば許可される?
提出だけで許可が保証されるものではありません。財務状況、改善策の具体性や実現可能性などが審査され、財務以外の許可要件も満たす必要があります。
2026年10月25日時点で確認した資料による案内です。普通産廃収集運搬業・積替え保管なしを対象とし、主に決算を終えた法人について説明しています。許可の可否、追加資料や診断書の取扱いは、申請先の最新の手引と個別の審査によります。積替え保管あり・処分業・特別管理産廃などには、そのまま当てはめないでください。