産廃収集運搬・土砂と汚泥の区分

建設残土と汚泥はどう違う?
産廃の許可が必要かフローチャートで確認

最終更新:

「残土を運んで」と頼まれたけれど、泥のような状態。産廃の許可は必要?

想定されるご相談

基礎工事の現場で、土の搬出を頼まれました。元請からは「残土」と聞いていますが、水分が多く、普通の土と同じように運んでよいのか分かりません。産廃の許可証には「がれき類」などの記載があります。「汚泥」も必要なのでしょうか。

土砂なら産廃の運搬許可は不要。建設汚泥なら、運ぶ立場によって許可が必要です

廃棄物に当たらない土砂と、産廃の「汚泥」に当たる建設汚泥では、運搬の条件が違います。「残土」と呼ばれていることだけで決めず、どの工法・工程で発生し、排出される時にどのような状態だったかを確認します。

建設汚泥を下請や運搬業者が引き受けて運ぶ場合は、原則として「汚泥」を含む産廃収集運搬業の許可が必要です。一方、その工事の元請が、自ら排出事業者として自社で運ぶ場合は、原則として収集運搬業の許可は不要です。土砂にも、搬出先の確認や土砂の排出・堆積に関する別の手続があるため、許可の要否と搬出先の条件を分けて確認してください。

土を運ぶ前に確認すべき3つのポイント

  • 工法・発生した工程と、その時の状態地面をそのまま掘った土か、水を使う掘削などで生じた泥状の物か。運ぶ直前の見た目だけでは決めません。
  • がれき・木片などの混入コンクリートがらや廃材が混じっている場合は、きれいな土砂としてそのまま搬出できるか、元請と確認します。
  • 元請の自己運搬か、下請・別会社の運搬か自社のトラックかどうかだけでは決まりません。建設汚泥を他社の依頼で運ぶなら、許可の品目・地域・期限も確認します。

残土・汚泥の運搬をフローチャートで確認

工法や発生した工程・状態について、元請等に確認した内容で答えてください。見積書に「残土」と書かれていることだけでは区分は決まりません。区分が分からないときは、「まだ区分が分からない」を選んでください。

フローチャート:残土・汚泥を運ぶ前の確認

6とおりの結論を、まとめて見る
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? 区分を確認できている運ぶ物は、どの区分と確認されていますか? 土砂と確認済み搬出先と、土質・数量などの受入条件は確認済みですか? 受入条件等を確認済み

    確認した土砂の運搬に、産廃収集運搬業の許可は不要です

    • この結果は、廃棄物に当たらない土砂と確認できている場合です。廃材や汚染の疑いがある物を一緒にしないでください。
    • 搬出先の受入条件と、土砂条例・盛土規制法等の手続を確認したうえで搬出してください。
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? 区分を確認できている運ぶ物は、どの区分と確認されていますか? 土砂と確認済み搬出先と、土質・数量などの受入条件は確認済みですか? まだ確認していない

    土砂の産廃運搬許可は不要ですが、搬出先等の確認が必要です

    • 元請と搬出先・受入条件を決め、必要な排出届や堆積の許可等を確認してください。
    • 産廃ではないことを理由に、空き地や受入条件の分からない場所へ持ち込まないでください。
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? 区分を確認できている運ぶ物は、どの区分と確認されていますか? 建設汚泥と確認済み自社は、その工事を施主から直接請け負う元請ですか? 元請として自社で運ぶ

    元請が自ら排出した建設汚泥を自社で運ぶなら、業許可は原則不要です

    • 収集運搬業の許可が不要でも、産廃の運搬基準・車体表示・携帯書類は守る必要があります。
    • 漏れ等を防げる車両・容器と、汚泥を適正に処理できる搬入先を確認してください。
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? 区分を確認できている運ぶ物は、どの区分と確認されていますか? 建設汚泥と確認済み自社は、その工事を施主から直接請け負う元請ですか? 下請・別の運搬業者

    下請等が建設汚泥を引き受けて運ぶなら、原則として許可が必要です

    • 自社の許可に汚泥が含まれるか、積む場所・下ろす場所の許可、期限や限定条件を確認してください。
    • 元請との運搬委託契約等と、汚泥に合った車両・容器も必要です。元請の許可を借りて運ぶことはできません。
    • 下請の無許可運搬に関する例外を、少量という理由だけで適用しないでください。
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? まだ区分が分からないコンクリートがらや木片など、廃材が混じっていますか? 廃材が混じっている

    廃材の混入があるため、きれいな残土としてそのまま運ばないでください

    • 混入物の種類、分別の方法、搬入先の条件を元請と確認し、不明な点は所管の産廃担当へ相談してください。
    • がれき類の許可があっても、ほかの混入物に対応する品目が必要になる場合があります。
  • 土砂か建設汚泥か、工法・発生時の状態から確認できていますか? まだ区分が分からないコンクリートがらや木片など、廃材が混じっていますか? 土だけ・混入も不明

    運搬前に、土砂か汚泥かを元請・所管の県や市へ確認してください

    • 工法、発生した工程、排出時の状態、脱水・乾燥・固化等をしたかを確認してください。
    • 見た目や「残土」という呼び名だけで、区分を決めないでください。
    • 工程図や試験結果が必要かも窓口へ相談してください。不明なことがあっても、分かる範囲で状況を伝えれば構いません。

廃棄物に当たるかを確定する図ではありません。普通産廃の建設汚泥を前提とし、汚染土壌・特別管理産廃・再生利用制度等は別途確認が必要です。

建設残土と建設汚泥、何が違う?

現場でいう「残土」は、一般に工事で出た余分な土を指します。ただし、見積書や配車の連絡に書かれた呼び名と、廃棄物処理法での区分は同じとは限りません。建設発生土として扱える土砂か、建設汚泥かを、工法や発生の状況に照らして確認します。

建設発生土としての土砂と、建設汚泥の違い
比較する点土砂建設汚泥
発生の例地山を掘削して生じた土砂など。廃材の混入や汚染の有無も確認します。場所打ち杭工法や泥水シールド工法等で生じる、含水率が高く粒子が細かい廃泥水など。
廃棄物処理法上の扱い同法の対象となる廃棄物から除外されます。産業廃棄物の「汚泥」として扱います。
下請等が引き受けて運ぶ場合土砂の運搬に、産廃収集運搬業の許可は不要です。別の法令・条例や搬入条件は確認します。原則として「汚泥」を含む収集運搬業の許可が必要です。許可区域と委託契約等も確認します。
搬出先土質、数量、受入条件と、必要な許可・届出等を確認した搬出先。汚泥を適正に処理できる施設等。残土の受入先へそのまま運べるわけではありません。

出典:東京都「建設廃棄物とは?」、埼玉県FAQ Q10-1。この表は、廃材の混入や土壌汚染の疑いがある物、再生利用の個別制度まで判定するものではありません。

水分が多ければ、全部が建設汚泥になる?

水分の多さだけで、すべて建設汚泥になるわけではありません。環境省の指針は、含水率が高く粒子が細かい泥状の掘削物について、工法や排出される工程も含めて説明しています。雨でぬかるんだ土なのか、掘削の工程から泥状で出てきた物なのかも、元請へ確認したい点です。

泥状の目安は、通常のダンプトラックに山積みできず、上を人が歩けないような流動性がある状態です。強さの指標では、コーン指数がおおむね200kN/m²以下、または一軸圧縮強度がおおむね50kN/m²以下とされています。状態を説明する目安であり、実際に人が上へ乗って判定するものではありません。

積込み時には形があっても、運搬中に練り返されて泥状になる物もあります。反対に、水を使った掘削でも、粒の大きさ・割合など指針の条件を満たし、分離後に流動性がなく生活環境上の支障もない物を、土砂として扱える場合があります。「積めたから残土」「水を使ったから全部汚泥」とは決めず、施工方法と分離工程を確認してください。

出典:環境省「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」15〜17ページ。数値だけで個別の区分は確定できません。

土砂か汚泥かは、いつの状態で判断する?

基本となるのは、掘削工事に伴って排出される時点です。水を利用する工法では、元の土砂と水を分離するまでを、一体の掘削工事として捉えます。掘った直後ではなく、分離までの工程を終えて排出される時点で判断します。

水を使う掘削では、土砂と水を分離するまでの一体の施工工程から排出される時点で土砂と汚泥を判断する。その後の脱水・乾燥・固化だけで自動的に土砂扱いになるわけではない。
水を使う掘削の考え方を簡略化した工程図です。一体の施工工程の範囲は工法によって異なります。出典:環境省「建設廃棄物処理指針」15〜17ページ、建設汚泥処理物の判断指針・令和2年通知。

運ぶ直前の写真しかない場合は、乾燥・脱水する前の状態や、どの装置から出た物かも確認が必要です。工事場所を所管する県・市の産廃担当へ相談するときは、分かる範囲で工法や工程、土の状態を伝えてください。説明できない部分は、窓口の案内に沿って元請と確認しましょう。

汚泥を乾かしたり固めたりすれば、残土として運べる?

乾燥や脱水、固化をしたことだけで、産廃ではなくなるわけではありません。建設汚泥に中間処理を加えた物は「建設汚泥処理物」として、その性状や排出状況、通常の取扱い、取引価値、持っている人の意思などを総合して、廃棄物に当たるか判断します。

適切な品質・数量で計画的に利用されることが客観的に確認できる場合などには、有価物として扱う考え方も示されています。ただし、「固まった」「再利用する予定」「無料で引き取ってもらえる」という説明だけでは判断できません。処理後の用途や受入先が決まっていても、必要な確認を省いて、土砂として運び出さないでください。

自ら利用する場合や再生利用の指定・認定を受ける場合にも、別途条件があります。このフローチャートは、それらの制度が使えるかまで判定するものではありません。利用方法に応じて、あらかじめ所管の産廃担当へ確認します。

出典:環境省「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針」、「建設汚泥処理物等の有価物該当性に関する取扱い」(令和2年7月20日)。

土にコンクリートがらや木片が混じっていたら?

廃材が混じっている場合は、土の割合が多いというだけで、きれいな残土として扱わないでください。混じっている物の種類や分別の方法、搬出先の受入条件を、元請と確認します。がれき類の許可があっても、ほかの混入物に対応する品目が必要になる場合があります。品目の照合は、リフォーム廃材と許可品目の記事でも説明しています。

工事中に地中のコンクリートがら等を掘り起こした場合、埼玉県は元請に処理責任が生じると案内しています。掘り起こした廃棄物を、そのまま埋め戻してはいけません。また、土壌汚染が疑われる場合は、通常の残土・汚泥の説明だけで搬出方法を決めず、所管部署へ確認が必要です。

出典:埼玉県FAQ Q11-1「地下埋設物について」。

建設汚泥を運ぶとき、元請と下請で許可は違う?

建設工事で発生する産廃は、原則として施主から直接工事を請け負った元請が、排出事業者となります。下請が現場で掘削したことや、自分の車を使うことだけで、下請の自己運搬になるわけではありません。

  • 元請が、自ら排出事業者として自社で運ぶ場合:原則として収集運搬業の許可は不要です。ただし、運搬基準、車体の表示や携帯書類等は守る必要があります。
  • 下請や別の運搬業者が引き受けて運ぶ場合:原則として「汚泥」を含む収集運搬業の許可と、元請との委託契約等が必要です。積む場所・下ろす場所に対応する許可も確認します。

許可証の品目だけでなく、限定条件や許可期限、運ぶ汚泥に合った車両・容器も確認してください。液状の物を、普通の荷台とシートだけで運べるとは限りません。設備は登録車両と品目別の運搬方法、表示・携帯書類はトラックの表示と携帯書類をご覧ください。

出典:埼玉県FAQ Q9-1・Q10-1。下請の無許可運搬に関する限定的な例外は、下請の現場廃材運搬の記事で条件を説明しています。

土砂なら、搬出先へ自由に持っていける?

産廃に当たらない土砂でも、自由に捨てたり、空き地へ置いたりできるわけではありません。搬出先の土質・数量等の受入条件に加え、土砂条例や盛土規制法などの許可・届出の対象かを確認します。産廃収集運搬業の許可が不要ということと、搬出・堆積の手続が不要ということは別です。

埼玉県には、建設工事から土砂を運び出す場合の排出届や、土砂の堆積に関する規制があります。工事の規模や場所、適用除外等で扱いが変わるため、県の環境管理事務所や該当する市の窓口へ確認してください。国土交通省の建設発生土の搬出先計画制度も、対象工事では確認が必要です。

出典:埼玉県「土砂の排出、堆積等の規制」、埼玉県「盛土規制法について」、国土交通省「建設発生土の搬出先計画制度」。

「残土」としか聞いていないとき、元請に何を聞く?

配車前に、工法と発生した工程、排出時の状態、その後の処理、混入物の有無を確かめたいところです。すべて自分で判定する必要はありません。元請が確認している内容を聞き、不明な点は産廃担当の窓口へ相談します。

元請への確認文の例(架空)

今回運ぶ物について、どの工法・工程で出た物か教えていただけますか。土砂か建設汚泥かを確認したいので、排出時の状態と、脱水・固化などをしたか、がら等が混じっていないかも分かる範囲でお願いします。区分と搬入先の受入条件を確認してから、運搬の手配を進めたいです。

写真や試験結果、施工工程図が必要になるかは、工事の内容によります。手元にない資料を全部集めてからでないと相談できない、ということではありません。確認できていないことも含めて、まず状況を伝えてください。

残土・汚泥で出てくる用語

建設発生土
建設工事から搬出される土砂。廃棄物処理法の廃棄物に当たらない土砂を、この記事では建設汚泥と区別して説明しています。
地山(じやま)
掘削する前の、もとの地盤を指します。
建設汚泥
掘削工事等で生じる泥状の物のうち、産廃の「汚泥」として扱うものです。
性状
水分、流動性、粒の大きさなど、その物の性質や状態です。
コーン指数
土の強さを示す指標です。泥状かを説明する目安の一つで、数値だけで廃棄物の区分を決めるものではありません。
建設汚泥処理物
建設汚泥に脱水・乾燥・固化等の中間処理を加えた物。廃棄物に当たるかは、用途や取引の状況等も含めて判断します。

残土か汚泥か分からないときは?

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

「残土と聞いているけれど、汚泥の許可も必要なのか分からない」という段階でも、ご相談ください。何の工事で、どのような運搬を頼まれているか、分かる範囲でお話しいただければ構いません。必要な許可や元請に聞いておきたいことを、一緒に確かめましょう。自治体への確認が必要な場合は、確認先もご案内します。写真や許可証などが必要な場合は、その都度ご案内します。

運搬に必要な許可は、何から相談すればよい?

  • 運ぶ物について、元請や自治体へ確認したい点
  • 現在の許可証にある品目・地域・限定条件
  • 新たな許可や事業範囲の変更が必要か、申請先へ確認する内容

許可が必要か分からないときも、一人で判断せずご相談ください。状況を伺い、必要な確認と申請の進め方をご案内します。

産廃の運搬許可について相談する業務の範囲と費用は、産廃収集運搬業許可のご案内をご覧ください。

建設残土・汚泥でよくある疑問

雨で濡れた残土は、全部汚泥になる?

雨で濡れたという理由だけで一律に建設汚泥と決めることはできません。どの工法・工程で発生した物か、排出時や運搬中にどのような状態になるかを確認します。雨でぬかるんだ土と、掘削工程で生じた廃泥水を区別し、不明な場合は所管の産廃担当へ確認してください。

「がれき類」の許可があれば、建設汚泥も運べる?

がれき類と汚泥は別の品目です。下請等が普通産廃の建設汚泥を引き受けて運ぶなら、原則として汚泥を含む収集運搬業の許可が必要です。許可の地域や限定条件、車両・容器も確認してください。

固化材で固めれば、残土の受入先へ運べる?

固めたことだけでは決まりません。処理後の物が廃棄物に当たるか、利用方法や品質・数量等を含めた確認が必要です。受入先から了承を得たことだけで、廃棄物としての扱いがなくなるわけではありません。

元請の許可証を借りて、下請の車で運べる?

元請の許可を下請が借りて使うことはできません。下請が運搬を引き受ける場合は、原則として自社の許可等が必要です。元請と同じ現場で働いていることや、自分の車を使うことだけで自己運搬にはなりません。

2026年11月2日時点の公的資料に基づく案内です。普通産廃の建設汚泥と、廃棄物に当たらない土砂の区別・運搬条件を説明しています。個別の廃棄物該当性、特別管理産廃、汚染土壌、一般廃棄物、再生利用制度の適用、処分業・積替え保管の可否は、この図や記事だけでは判定できません。工法、発生工程、状態、利用・処理計画等に応じ、所管の県・市へ確認してください。