埼玉県の建設業許可・毎年の決算変更届

工事経歴書は、請求書の一覧をそのまま使えますか?

最終更新:

請求書を並べれば、工事経歴書になりますか?

想定されるご相談

決算変更届に工事経歴書が必要と聞きました。請求書の一覧はありますが、一つの工事で着手時と完成時に分けて請求したものがあります。この一覧をそのまま使ってよいのでしょうか。

請求書一覧は資料になりますが、そのまま転記はできません

一つの工事で複数回請求することがあります。一方、工事経歴書は建設工事の種類ごとに、完成した主な工事と主な未成工事を記載します。同じ請負契約の工事で請求書を二枚出していても、それだけで工事二件にはなりません。契約書や注文書で工事の単位と請負代金を確かめ、請求書にない現場・工期・配置技術者などの情報も補います。

請求書を工事経歴書に整理する前に確認すること

  • 請求書がどの契約・工事に対応するか同じ工事の分割請求か、別の契約かを契約書・注文書で確認します。
  • 決算期末までに完成した工事か請求日だけでは完成・未成を決めず、工事の記録で確認します。
  • 工事経歴書の欄を埋める資料があるか注文者、工事場所、工期、配置技術者、変更後の請負代金を確認します。

請求書3枚でも、工事は2件という例

次の金額と会社名は架空の例です。A工事は同じ請負契約について着手時と完成時に請求し、B工事は別の契約で一括請求しています。どちらも対象事業年度中に完成し、契約書の請負代金と請求額の合計が一致している場合を示します。金額は同じ税区分で比較しています。

A工事の請求書2枚とB工事の請求書1枚を、契約を確認してA工事・B工事の2件に整理する図
請求書の枚数だけで工事の件数を決めません。A工事の2枚が同じ請負契約に対応することを確認してから整理します。
架空の請求書一覧
請求書請求先・工事のメモ請求内容金額
No. 01A社・店舗内装工事着手時の請求80万円
No. 02A社・店舗内装工事完成時の請求120万円
No. 03B社・事務所間仕切工事一括請求90万円
契約を確認してから作る工事別の整理表
契約で確認した工事対応する請求書確認した請負代金工事経歴書に向けて確認すること
A社の店舗内装工事No. 01・02200万円工事の種類、現場、工期、配置技術者
B社の事務所間仕切工事No. 0390万円工事の種類、現場、工期、配置技術者

この整理表は工事経歴書そのものではありません。埼玉県の手引きは、1件の請負契約を分割して複数の建設工事として計上しないこと、請負金額が変更された場合は変更後の金額を記載することを示しています。請求書の合計だけで契約上の請負代金を確定せず、変更契約や追加工事がないかも確認してください。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」第9章・工事経歴書(手引き74ページ)。

請求書一覧だけでは、どの欄が足りませんか?

埼玉県の工事経歴書(様式第二号)には、請求先と金額以外にも記載する欄があります。請求書の発行時に以下を記録していなければ、契約書、注文書、現場の記録などを確認します。

工事経歴書の主な記載項目と確認資料
記載項目確認する資料の例請求書一覧だけでは困ること
建設工事の種類・工事名契約書、注文書、工事の内容が分かる資料請求書の「工事一式」だけでは業種や内容を判別できません。
注文者・元請または下請契約書、注文書・請書現場の所有者と直接の注文者は同じとは限りません。
工事現場、着工・完成年月契約書、工程表、完成を確認できる記録請求日や入金日だけでは、現場や完成した年度を決められません。
配置技術者、請負代金現場の配置記録、契約書・変更契約書担当した技術者や変更後の請負代金が一覧にないことがあります。

経営事項審査を申請しない場合、埼玉県の手引きでは、許可を受けている建設工事の種類ごとに、前事業年度に完成した主な工事を請負代金の大きい順に10件程度記載し、その後に主な未成工事を記載します。請求書を発行日順に並べるだけでは、必要な掲載順や完成・未成の区別を判断できません。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」第9章、様式第二号の記載要領。

請求書一覧があるなら、何を追加で用意しますか?

  1. 契約書・注文書を工事ごとに対応させる

    請求書ごとに、対応する契約書と工事名を確認します。月末に複数工事をまとめて請求している場合も、契約の単位を確かめます。

  2. 完成した年度と請負代金を確認する

    請求日だけで年度を決めず、完成を確認できる記録と決算資料を見ます。金額変更があれば変更後の契約書類も確認します。

  3. 工事経歴書の不足欄を確認する

    注文者、元請・下請、現場、工期、配置技術者を工事ごとに確認し、建設工事の種類ごとに整理します。

決算変更届全体で用意するものは必要書類の記事で確認できます。工事の売上がない年度は工事実績なしの場合の記載もご覧ください。

請求書の枚数より、契約の内容を先に確認します

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

請求書一覧に同じ工事名が二行あれば、まず契約書や注文書で、同じ契約について分けて請求したものか確認してください。工事名が同じでも別契約のことはあります。完成した時期や請負代金の変更も分かる資料があれば、工事経歴書に必要な情報を確認しやすくなります。

この相談で一緒に確認できること

請求書と契約を照らし合わせ、工事別の資料を整理します

  • 同じ工事の分割請求と、別の工事の請求を確認する
  • 工事の種類、完成・未成、請負代金を確認する
  • 工事経歴書と決算変更届に必要な資料を確認する

請求書一覧があり、契約書や注文書の一部が見つからない場合も、手元にある資料をお知らせください。資料を照らし合わせ、工事ごとに不足している情報を整理します。

決算変更届の準備と相談内容を見る工事資料・決算資料・提出状況の確認項目を案内しています。

関連するQ&A

請求書が一枚だけなら、工事経歴書も一件ですか?

一枚の請求書に複数の工事が含まれることもあります。請求書の枚数では決めず、契約書や注文書で工事ごとの内容を確認してください。

請求書の日付で、工事を記載する年度を決められますか?

請求日だけでは決められません。決算期末までに完成した工事か、未成工事かを工事の記録と決算資料で確認します。

契約書が見つからない工事は、請求書だけで記載できますか?

請求書だけでは工事の単位、請負代金の変更、工期などが分からない場合があります。注文書・請書、工事台帳、現場の記録など、残っている資料を工事ごとに確認してください。