埼玉県の建設業許可・毎年の決算変更届
今期は工事の売上がありません。決算変更届は必要ですか?
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工事をしていない年は、何も出さなくてよいですか?
埼玉県知事の建設業許可を持っていますが、今期は工事の受注がなく、工事の売上もありませんでした。会社は続けるつもりです。工事経歴書に書く工事がないので、今年の決算変更届は出さなくてもよいでしょうか。
許可を維持するなら、工事実績がなくても提出します
埼玉県の手引きは、変更届出書(決算報告)を毎年必ず、事業年度終了後4か月以内に提出するよう案内しています。工事が一件もない場合も、工事経歴書を省略せず、許可を受けている工事の種類を記入し、空欄に「該当なし」と記載して添付します。単に今期の売上がない状態と、建設業から撤退して廃業届を出す状態は分けて考えます。
先に確認したい3つのこと
- 許可を今後も維持するか一時的に仕事がなかっただけなのか、許可業種の全部または一部から撤退するのかで手続きが変わります。
- 完成工事だけでなく、未成工事もないか完成工事高がゼロでも、決算日時点で施工中の工事があれば、工事経歴書へ記載する内容が残る場合があります。
- 「売上ゼロ」が何を指すか建設工事の完成工事高がゼロなのか、兼業売上も含めて会社全体の売上がゼロなのかを分けて確認します。
工事売上がゼロでも、決算変更届は必要です
決算変更届は「工事があったときだけ出す実績報告」ではありません。建設業許可を受けた事業者が、事業年度ごとの工事実績と財務内容を届け出る手続きです。埼玉県の令和8年版手引きでは、毎事業年度終了後4か月以内の提出が必要とされています。
したがって、許可を維持する会社・個人事業主は、完成工事高がゼロだからという理由だけで、その年度の届出を飛ばすことはできません。県から案内が届くかどうかではなく、自社の決算日から期限を管理します。
出典:埼玉県「10 許可後の注意事項」、「変更届出書(決算報告)の概要」。
「工事の売上がない」と「工事が一件もない」は同じとは限りません
最初に確認したいのは、損益計算書の完成工事高がゼロかどうかだけではありません。決算日をまたいで施工中の工事、追加工事、請求や入金の時期がずれた工事がないかを、契約書・注文書・請求書・工事台帳で確認します。
| 状況 | 先に確認すること | 工事経歴書の考え方 |
|---|---|---|
| 完成した工事も施工中の工事もない | 許可業種ごとに本当に工事がないか | 工事の種類を記入し、空欄に「該当なし」 |
| 完成工事高はゼロだが施工中の工事がある | 決算日時点の未成工事、契約内容、請負金額、工期 | 主な未成工事として記載する内容を確認 |
| 建設工事以外の売上だけがある | その取引が建設工事か、兼業売上か | 工事実績と財務諸表の兼業売上を分けて整理 |
| 請求・入金が翌期になっただけ | 工事の完成時期と会計上の処理 | 入金日だけで工事年度を決めない |
請求書がゼロ枚でも、すぐに「該当なし」とは決めません。
完成・未成の別や、契約と請求のずれを確認してから、その年度の工事経歴書と財務諸表をそろえます。
許可を維持するなら、「ゼロの年度」として届け出ます
完成工事高がゼロの場合は、未成工事の有無を確認します。そのうえで許可を維持するなら、工事経歴書とほかの必要書類をそろえて決算変更届を提出します。
工事経歴書は省略せず、「該当なし」と記載します
埼玉県の手引きでは、建設工事の実績がない場合でも、工事経歴書に建設工事の種類を記入し、空欄に「該当なし」と記載したうえで、必ず添付する扱いです。実績がない許可業種が複数あるときは、1枚にまとめて作成できます。
| 確認箇所 | 扱い |
|---|---|
| 建設工事の種類 | 実績がなかった許可業種を記入する |
| 工事内容の欄 | 空欄に「該当なし」と記載する |
| 実績がない業種が複数 | 1枚にまとめて作成してもよい |
| 未成工事がある | 「該当なし」にせず、主な未成工事の記載を確認する |
出典:埼玉県令和8年版手引き「9 申請書等の作成」74ページ。この記事は経営事項審査を申請しない場合の記載を中心に説明しています。
「該当なし」で終わるのは、工事経歴書の実績欄です
工事がなかったからといって、決算変更届の一式が工事経歴書だけになるわけではありません。変更届出書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、法人または個人の財務諸表、事業税の資料などを確認します。
とくに財務諸表は、完成工事高がゼロでも、現預金、借入金、販売費・一般管理費、兼業売上などが残ることがあります。「工事がないから全欄ゼロ」とはせず、税務申告用の決算資料と照合します。
法人・個人別の書類と、埼玉県の最新の添付省略制度は、埼玉県の決算変更届に必要な書類の記事で一覧にしています。
実績なし・休業・廃業は、同じ状態ではありません
日常会話の「休業」は、仕事を一時的に止めている状態を指すことがあります。一方、建設業許可の手続きでは、許可を維持するのか、許可を受けた建設業の全部または一部を廃止するのかを区別します。
| 状態 | 許可の考え方 | 確認する手続き |
|---|---|---|
| 今期だけ工事がなかった | 今後も許可を使う | 実績なしの年度として決算変更届 |
| 一時的に営業を休んでいる | 許可を維持して再開予定 | 毎年の決算変更届を継続して確認 |
| 一部の許可業種だけをやめる | ほかの許可業種は続ける | 一部廃業と関連する変更届を確認 |
| 建設業から撤退する | 許可業種の全部をやめる | 全部廃業の届出を確認 |
| 法人を解散した・許可要件を満たさなくなった | 許可をそのまま維持できない場合がある | 廃業届その他の必要な手続きを早めに確認 |
埼玉県の手引きでは、許可を受けた建設業の全部または一部を廃止したときなどは、30日以内に廃業届を提出すると案内されています。売上がゼロになっただけで自動的に廃業になるわけではありませんが、撤退を決めたのに「実績なし」の決算報告だけを続ければよいわけでもありません。
出典:埼玉県「10 許可後の注意事項」の「廃業届」。個人事業主の死亡、法人の合併・解散、許可業種の廃止など、理由ごとに届出者と添付書類が異なります。
工事実績ゼロだけで、更新できないとは決まりません
工事実績がない年度があることだけで、更新の可否を決めることはできません。更新時には、許可の有効期間に加え、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、社会保険、欠格要件など、その時点の許可要件を確認します。
ただし、実績がない年度も決算変更届の対象です。提出していない年度が残っている場合は、工事実績の有無とは別に、年度ごとの提出状況を確認します。複数年度の未提出があるときは、決算変更届の未提出と更新準備の記事をご覧ください。
相談前は、この順番で確認します
- 許可通知書と前回の控えを確認する
許可番号、許可業種、決算期、直近の提出年度を確認します。
- 対象年度の工事資料を確認する
契約書、注文書、請求書、工事台帳から、完成工事と未成工事を分けます。
- 決算書と税務申告資料を確認する
完成工事高、兼業売上、工事原価、未成工事に関する科目を確認します。
- 許可を維持するか、業種を廃止するかを確認する
一時的な実績ゼロと、事業からの撤退を分けます。
- 提出期限と提出方法を確認する
事業年度終了後4か月以内を基準に、埼玉県の現行様式を使います。
税務申告を済ませていても、県への決算変更届が自動的に済むわけではありません。依頼範囲と提出控えの確認方法は、税理士への決算依頼と決算変更届の記事で説明しています。
私なら、まず「売上ゼロ」の中身を分けます

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
「工事売上がゼロ」と聞いたら、私は先に、未成工事がないか、兼業売上がないか、今後も許可を維持するかを確認します。その3点が分かれば、「該当なし」で作る年度なのか、別の工事記載が必要なのか、廃業の検討が必要なのかを切り分けやすくなります。
この相談で一緒に整理できること
工事実績ゼロの年度も、必要な書類を順番に確認します
- 完成工事と未成工事が本当にないかを確認する
- 許可業種ごとの「該当なし」の記載を確認する
- 工事施工金額と財務諸表の数字をそろえる
- 許可維持・一部廃業・全部廃業のどれかを確認する
分かる範囲で「決算月」「許可業種」「工事の最終受注時期」「許可を今後も使う予定」を確認してください。
決算変更届の準備・相談内容を見る手元資料のチェック項目と、相談時に確認する範囲を案内しています。関連するQ&A
許可業種がすべて実績ゼロでも、工事経歴書は必要ですか?
必要です。許可を受けている工事の種類を記入し、空欄に「該当なし」と記載して添付します。実績がない複数業種は、1枚にまとめて作成できます。
完成工事高がゼロなら、直前3年の工事施工金額も提出不要ですか?
提出書類から外れるわけではありません。当期の金額を含め、許可業種別・元請下請別の欄を確認し、工事経歴書や財務諸表と整合させます。
契約済みですが、決算日には工事が終わっていません。実績なしですか?
未成工事として工事経歴書へ記載する場合があります。契約書、工期、決算日時点の進捗、請負金額を確認し、単に売上計上がないという理由だけで「該当なし」とは決めません。
会社を休眠にしています。決算変更届は必要ですか?
許可を維持して再開する予定なら、一時的に工事がない年度として毎年の決算変更届を確認します。建設業から撤退する場合や法人を解散した場合は、廃業届など別の手続きも確認してください。
工事実績ゼロの年があると、許可を更新できませんか?
実績ゼロだけで更新不可と決まるわけではありません。ただし、決算変更届の提出状況と、更新時点の許可要件は別に確認が必要です。