埼玉県の建設業許可・工事経歴書

決算をまたいだ工事は、どの年度の工事経歴書に書きますか?

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3月に請求して、工事は4月に終わりました。工事経歴書はどの年度に書きますか?

想定されるご相談

当社は3月決算です。2月から始めた工事について、3月に着手金を請求しましたが、完成したのは4月です。3月期の工事経歴書に書くのか、翌年の3月期に書くのか分かりません。

前期は主な未成工事、翌期は主な完成工事に該当するか確認します

埼玉県の手引きでは、経営事項審査を申請しない事業者は、前事業年度に完成した主な工事に続けて、主な未成工事を記載します。この例では、3月31日にまだ完成していなければ、3月期は主な未成工事に該当するか確認します。4月に完成したら、翌年の3月期は主な完成工事に該当するか確認します。3月の請求や入金だけで完成年度は決めません。

最初に確認する3点

  • 会社の決算日どの事業年度の工事経歴書を作るか、事業年度の始期と末日を確かめます。
  • 決算日時点で完成していたか完成通知、検査、引渡しなどの記録を確認します。請求日や入金日だけでは判断しません。
  • 決算で工事の売上をどう計上したか工事完成基準か工事進行基準か、決算書・工事台帳と税理士への依頼内容を確認します。

3月末に未完成、4月に完成した工事の例

3月決算の会社を例に、工事進行基準を適用しないA工事について、期末ごとの完成状況を見てみましょう。

3月31日の決算日に未完成のA工事は令和8年3月期の主な未成工事、4月20日に完成したら令和9年3月期の主な完成工事として確認する架空例
3月に着手金を請求していても、3月31日時点で未完成なら、その年度の完成工事にはしません。3月期は主な未成工事、翌年の3月期は主な完成工事に該当するか、それぞれ確認します。
A工事は、どの年度の完成・未成工事に該当しますか?
対象年度決算日時点の状態工事経歴書での確認
令和8年3月期令和8年3月31日は未完成。3月に着手金の請求あり。この年度の主な未成工事に該当するか確認します。記載する場合は、主な完成工事の後に書きます。
令和9年3月期令和8年4月20日に完成・引渡し。この年度の主な完成工事に該当するか確認します。記載する場合は、請負代金の大きい順に書きます。

埼玉県の手引きが求めるのは、すべての工事を二度書くことではありません。完成工事は主なものを請負代金の大きい順に10件程度、その後に主な未成工事を記載します。A工事が各年度の主な工事に当たるか、他の工事の請負代金も見て判断してください。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」第9章・工事経歴書(手引き74ページ)。

請求日や入金日では、なぜ年度を決められませんか?

着手金や中間金を工事の完成前に請求することがあります。逆に、工事が完成してから請求書を出すこともあります。入金はさらに後になる場合もあるため、請求書と通帳だけでは決算日時点の完成・未成を確認できません。

完成・未成を確認する資料
資料確認すること
契約書、注文書・請書工事名、工期、請負代金、変更契約の有無
工程表、工事日報、現場の記録決算日までの作業状況と、その後に残っていた作業
完成通知、検査・引渡しの記録工事を完成・引渡しした時期
工事台帳、決算書工事別の金額と、どの年度に完成工事高を計上したか
請求書、入金明細どの工事の請求・入金か。完成時期を決める資料としては単独で使わない

完成時期は、完成通知や検査・引渡しの記録で確認します。工事経歴書に書く「完成又は完成予定年月」がこれらの記録と合うか、完成工事として書いた年度が決算書の完成工事高の計上年度と合うかも確認してください。

工事進行基準で売上を計上している場合は?

ここまでの例は、完成時に売上を計上する工事を前提にしています。埼玉県の手引きは、複数年にまたがり単年度の工事進行基準が適用される工事について、当該年度の額を上段の括弧内、工事全体の額を下段に記載すると説明しています。該当する工事は、単に「完成年度に全額」として処理せず、決算書で採用した計上方法と年度ごとの金額を確認してください。

税理士に決算を依頼している場合は、その工事の売上を各年度にどう計上したか、工事台帳とともに確認します。税務申告を依頼しただけで建設業の決算変更届まで済んでいるとは限りません。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」第9章・工事経歴書の注4(手引き74ページ)。

どの年度に書くか、どう判断しますか?

  1. 各期末に完成していたか確認する

    契約書に書かれた工期だけでなく、実際の完成通知や引渡しの記録で、期末の状態を確認します。

  2. 前期と翌期の売上計上を確認する

    工事台帳と決算書を見て、売上の計上年度と工事進行基準の適用有無を確認します。

  3. 年度ごとに記載の対象か判断する

    前期末の主な未成工事、翌期の主な完成工事に該当するか、埼玉県の記載順に照らして確認します。

請求書を複数回出した工事なら、分割請求と追加工事の整理も先に確認してください。

請求書だけでは、3月末に終わっていたか分かりません

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

3月に請求した工事でも、4月まで現場の作業が続いていたなら、請求書の日付だけで3月期の完成工事にはできません。完成を確認できる書類が手元になければ、工事日報や発注者とのやり取りも確認します。決算書と工事台帳の金額が合わない場合は、どの年度に売上を計上したかも確認してください。

この相談で一緒に確認できること

期末の工事状況と決算資料を照らし合わせます

  • 決算日、完成・引渡しの時期を確認する
  • 請求書、工事台帳、決算書の対応を確認する
  • 各年度の完成工事・未成工事の資料を整理する

完成通知などが見つからない場合も、契約書、工事日報、請求書、決算書のうち手元にあるものをお知らせください。前期と翌期で確認が必要な資料を整理します。

決算変更届の相談内容を見る

関連するQ&A

3月に着手金を受け取ったら、3月期の完成工事ですか?

着手金の入金だけでは完成年度を決められません。3月末時点で完成していたか、工事の記録と決算資料で確認します。

期末に未完成なら、工事経歴書には何も書かなくてよいですか?

埼玉県の手引きは、主な完成工事に続けて主な未成工事の記載を求めています。主な未成工事に該当するか確認してください。

前期に未成工事として書いたら、翌期には書けませんか?

翌期に完成した場合は、翌期の主な完成工事として記載する対象か確認します。前期に未成工事として書いたことだけを理由に、翌期の完成工事から除くわけではありません。