埼玉県の建設業許可・工事経歴書

工事経歴書の「注文者」は誰?
元請・下請の見分け方

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現場の持ち主の名前を、注文者欄に書けばよいですか?

想定されるご相談

埼玉県へ出す決算変更届の工事経歴書を作っています。現場には建物のオーナー、元請会社、管理会社がいます。「注文者」には誰を書き、「元請・下請」はどちらにすればよいでしょうか。

自社への直接の注文者と、最初の発注者までの契約経路を確認します

「注文者」欄には、自社がその工事を直接請け負った契約の相手方を確認します。「元請・下請」は、自社が最初の発注者から直接請け負ったかで判断します。契約書・注文書/請書の当事者を見てください。現場の所有者や工事代金の振込人だけからは決められません。

最初に確認する3点

  • 自社の契約書・注文書/請書にある相手方工事名と契約当事者を見ます。請求書だけなら、対応する注文書を探します。
  • その相手方は、別の建設会社として工事を先に受けているか最初の発注者→A建設→自社なら、自社は下請工事です。
  • 注文者欄と工事名に個人が特定される情報がないか県の記載例は、個人の氏名が特定されないように書く注意を示しています。

埼玉県の様式では、2つの欄が別々です

埼玉県の工事経歴書(様式第2号)には、「注文者」と「元請又は下請の別」が並びます。注文者は自社が契約した直接の相手、元請・下請の別は発注者から自社までの請負関係を表します。両方を同じ言葉として扱わないでください。

元請と下請そのものの違いがあいまいな場合は、先に元請・下請と発注者・注文者の用語集を見ると整理しやすくなります。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」令和8年版第9章・手引き74ページ。

契約の矢印をたどると、書く相手が変わります

図は同じ種類の工事を、発注者から直接受けた場合と、A建設が先に受けて自社へ注文した場合の比較です。矢印の直前にいる人・会社が、自社にとっての直接の注文者です。

発注者が自社へ直接注文する場合は元請で注文者は発注者。発注者がA建設へ注文し、A建設が自社へ注文する場合は下請で注文者はA建設となる比較
架空例です。矢印は工事の注文順。建物の所有者は契約の相手方と異なることがあるため、この矢印だけで表せない場合は契約書類で確認します。
工事経歴書に転記するときの架空例
契約のつながり自社の「注文者」欄「元請又は下請の別」
発注者→自社発注者元請
発注者→A建設→自社A建設下請
発注者→A建設→B設備→自社B設備下請。二次下請でも最初の発注者は注文者欄に書かない。

同じ会社が元請の工事と下請の工事の両方を受けることもあります。会社単位で一律に決めず、工事ごとに記載します。

どの資料を、どの順に見ますか?

  1. 契約書・注文書/請書で、直接の相手方を特定する

    「注文者」「発注者」「甲」などの表示だけに頼らず、誰が自社へその工事を注文し、誰が請け負ったかを読みます。変更注文書も合わせて確認します。

  2. その相手方より前に、工事の請負契約があるか確認する

    自社の相手が建設会社でも、その社名だけで下請とは断定できません。発注者から直接の注文か、相手方が先に請け負った工事の再注文かを確かめます。

  3. 工事経歴書の2欄を、別々に埋める

    直接の契約相手を「注文者」欄に記し、発注者から直接受けたかによって「元請」「下請」を選びます。注文者が個人のときは特定につながる記載を避けます。

手元に請求書しかなく、契約相手や上流の請負関係が分からないときは、注文書・請書を社内や以前の依頼先に確認してください。請求先が現場の所有者と違っても、その理由を確かめる前に工事経歴書へ転記しないようにします。

現場の所有者と注文者が違うときは?

たとえば、建物の所有者が大家で、店舗を借りるテナントが自分の名義で内装工事を直接注文したとします。この工事で自社がテナントから直接請け負ったなら、契約上の発注者・注文者はテナントで、自社の工事は元請です。「大家の建物だから大家が注文者」とはしません。

管理会社を通して受けた工事も、管理会社が所有者の代理で契約したのか、管理会社自身が注文したのか、管理会社が請け負った工事を自社へ再注文したのかで結論が変わります。代理権の表示や契約当事者、注文書・請書の発行者を確認します。分からない場合は、所有者・管理会社・自社の関係を先に整理してください。

個人の名前をそのまま公開書類に書いてよいですか?

埼玉県の非経審向け記載例は、「注文者」と「工事名」で個人の氏名が特定されないよう注意を示しています。工事経歴書は閲覧されることもあるため、個人名・住宅の所在地などを組み合わせて本人を識別できる書き方は避けます。内部の工事台帳には契約相手を確認できる情報を残し、県へ提出する様式の表示を分けてください。

県の記載例でも個人の注文者は「A」などとして示されています。匿名化しても、どの原資料に対応する工事かを社内で追えるようにします。

「注文者」と「現場の持ち主」は分けて見ます

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

注文者欄が分からないときは、現場住所や請求書の宛名から埋め始めず、契約書と注文書を工事ごとに並べます。「誰が自社へ注文したか」と「その人・会社が工事を先に請け負っていたか」を分けて確認すると、元請・下請の欄も整理できます。

この相談で一緒に確認できること

工事ごとの契約関係から記載欄を整理します

  • 契約書・注文書と工事名を対応させる
  • 直接の注文者と元請・下請の別を工事ごとに確認する
  • 個人が特定されない工事経歴書の表示を確認する

決算変更届の工事経歴書で契約の相手方が分からない場合は、手元の契約書・注文書と工事一覧をお知らせください。どの資料で判断できるか確認します。

決算変更届の相談内容を見る

関連するQ&A

二次下請の注文者は、最初の元請会社ですか?

通常は、自社へ直接工事を注文した一次下請会社などを確認します。発注者→A建設→B設備→自社なら、自社の直接の注文者はB設備です。

請求書の宛名だけで注文者欄を決められますか?

請求先と請負契約の相手方が異なる場合があります。契約書・注文書/請書と照合し、誰から工事を請け負ったかを確かめます。

元請会社から別の現場を直接頼まれたら、いつも下請ですか?

いつも同じとは限りません。その工事を相手方が先に誰かから請け負って再注文しているなら下請です。相手方自身が最初の発注者なら、自社はその工事を直接受けた元請です。