建設業の用語集・契約の関係

元請と下請の違いは?
発注者・注文者との関係から整理します

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いつも別の会社の現場で仕事をしています。自社は下請ですか?

想定されるご相談

工事経歴書に「元請・下請」を書くよう言われました。現場では他社の担当者と話しますが、その会社が元請なのか、建物の持ち主が発注者なのか、よく分かりません。

現場にいる会社ではなく、その工事を誰から請け負ったかで見ます

工事を最初に注文した発注者から自社が直接請け負えば「元請工事」、その工事を請け負った建設会社から自社が請け負えば「下請工事」です。同じ会社でも、工事Aでは元請、工事Bでは下請になります。自社の契約書・注文書に書かれた相手方と、その相手方が工事を誰から受けたかを確認します。

まず確認する3点

  • 自社が結んだ請負契約の相手方契約書・注文書と請書の「注文者」「請負人」を確認します。
  • 工事を最初に注文した人・会社その工事を他社から請け負っていない最初の注文者が「発注者」です。
  • 間に別の請負契約があるか「発注者 → A建設 → 自社」なら、自社は発注者から直接受けていません。

4つの言葉を、契約の順番で見る

「発注者」は工事を最初に注文した人や会社、「注文者」はある請負契約について工事を注文した側を指します。最初の発注者だけでなく、下請へ工事を出す建設会社も、その下請契約では注文者です。

発注者がA建設へ注文、A建設がB設備へ注文、B設備がC配管へ再注文する契約関係。A建設は発注者から直接受けた元請、B設備とC配管はそれぞれ一次・二次下請で、各社の直接の注文者は一つ上の契約相手
架空の契約関係です。矢印は工事を注文する向き。B設備がC配管へ再下請を出すとき、B設備はその下請契約の「注文者」でもあります。
同じ工事を、契約ごとに見た呼び方
言葉この図では誰か意味
発注者最初の注文者他社から請け負った工事を再発注するのではなく、その工事を最初に注文する人・会社。
元請工事A建設の受注工事発注者から直接請け負った工事。工事経歴書の「元請」はこの意味で使います。
下請工事B設備・C配管の受注工事発注者から直接ではなく、上流で工事を請け負った建設会社から受ける工事。
注文者A建設にとっては発注者、B設備にとってはA建設、C配管にとってはB設備自社の請負契約で、直接工事を注文した相手方。

出典:国土交通省「発注者、元請負人、下請負人、注文者の定義」、「許可事務ガイドライン抜粋」。

「元請負人」は、どの契約を見ているかに注意

日常会話や工事経歴書では「元請」を、最初の発注者から直接受けた会社という意味で使うのが分かりやすいでしょう。一方、建設業法でいう「元請負人」は、個々の下請契約で下請へ注文する建設業者を指します。上の図のB設備も、C配管へ再下請を出す契約については「元請負人」です。

だからといって、B設備が発注者から直接受けた元請工事に変わるわけではありません。工事経歴書の「元請又は下請の別」では、発注者から自社が直接請け負ったかを確認します。

建物の所有者が、いつも発注者とは限りません

たとえばテナントが、借りている店舗の内装工事を自社の名義で直接注文する場合、建物の所有者は大家でも、その工事の発注者はテナントです。工事経歴書で自社がそのテナントから直接請け負えば「元請」です。

管理会社を通して話をしている場合も、管理会社が誰の名義で契約しているかで変わります。所有者の代理で契約しているのか、管理会社自身が注文者なのか、管理会社が別の建設工事を請け負って自社へ再発注しているのかを、契約書・注文書で確かめてください。現場の看板や連絡担当者だけでは決められません。

工事経歴書では、どの欄にどう書きますか?

埼玉県の工事経歴書(様式第2号)には「注文者」と「元請又は下請の別」が別々にあります。発注者から直接受けた工事なら、その発注者を注文者欄に、区分は元請と記します。建設会社Aから請け負った工事なら、注文者欄は直接の契約相手であるA、区分は下請です。二次下請でも注文者を最初の発注者に戻しません。

具体的な書類の見方と架空の記入例は、工事経歴書の「元請・下請」「注文者」はどこを見るかで説明します。

出典:埼玉県「建設業許可申請・届出の手引き」令和8年版第9章・手引き74ページ。

会社ごとではなく、工事ごとに確認します

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

普段は「下請の会社」と呼ばれていても、自社が店舗オーナーやテナントから直接受ける工事もあります。相手方の名称だけで区分を決めず、その工事で誰が最初に注文し、自社が誰と契約したかを一件ずつ確認します。

次に確認すること

手元の工事資料で、契約のつながりを整理する

  • 自社の契約書・注文書に書かれた相手方を確認する
  • その工事を相手方が先に請け負っていたか確認する
  • 工事経歴書に書く注文者と区分を工事ごとに分ける

元請・下請の意味が分かったら、実際の書類で「注文者」欄まで確認しましょう。

工事経歴書の書き方を見る

関連するQ&A

元請と下請は、会社ごとに固定されますか?

固定されません。発注者から直接受けた工事は元請、別の建設会社から受けた工事は下請と、工事ごとの契約関係で判断します。

二次下請の注文者は、最初の発注者ですか?

いいえ。工事経歴書では、その工事を自社へ直接注文した会社を確認します。発注者→A建設→B設備→自社なら、自社の直接の注文者はB設備です。

建物の所有者が分かれば、発注者も分かりますか?

必ずしも分かりません。テナントが借りた店舗の内装工事を直接注文するような場合があります。実際の契約当事者を確認します。