埼玉県の建設業許可・一人親方と一人会社

一人で仕事をしています。
従業員がいなくても建設業許可を取れますか?

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従業員を雇うことが必要なのでしょうか?

想定されるご相談

埼玉県で一人で工事を請け負っています。建設業許可を取るには、経営を管理する人と技術者が必要だと聞きました。従業員がいないと申請できませんか。保険も、どれに入ればよいのか分かりません。

人数ではなく、それぞれの要件を確認します

従業員がいない個人事業主でも、社長一人の法人でも、要件を満たせば許可を取れます。同じ事業者の同じ営業所なら、経営業務を管理する役割(常勤役員等)と営業所技術者等を、一人で兼ねられる場合があります。ただし、経営経験・技術者の要件・勤務状況をそれぞれ確認する必要があります。保険の扱いは、個人と法人で異なります。

最初に確認する3つのこと

  • 個人で申請するか、法人で申請するか同じ「一人」でも、社会保険の加入義務が異なります。
  • 本人が二つの役割の要件を満たすか経営経験と、申請業種に対応する資格・実務経験を分けて調べます。
  • 勤務状況と、保険の適用関係他社での勤務や現場の担当状況、現在の保険を確認します。保険名だけで判断しません。

一人親方・社長一人でも、二つの役割を兼ねられますか?

従業員を雇わず自分で工事を請け負う個人事業主は、一般に「一人親方」と呼ばれます。代表者だけで営む法人は「一人会社」と呼ばれることもあります。どちらも、従業員がいないことだけを理由に申請できなくなるわけではありません。

一般建設業の許可では、経営業務を適正に管理する体制と、営業所技術者等が必要です。埼玉県の手引き「許可の要件」17〜18ページでは、同一業者・同一営業所で、それぞれの要件を備えていれば兼任できるとされています。本人が両方の要件を満たせば、別々の人を置く必要はありません。

同じ事業者の同じ営業所で、本人が経営業務の管理と営業所技術者等の両方の要件を満たす場合に兼任できる関係図
一人で兼ねる場合も、経営経験と技術者の資格・実務経験は、それぞれ資料で確認します。
一人で申請するときに確認する役割
役割個人事業主社長一人の法人
経営業務の管理事業主本人の、建設業の経営経験とその証明資料を確認します。常勤の役員である社長の経験を確認します。会社の設立後の年数だけで判断しません。
営業所技術者等本人の資格・実務経験が、申請する業種の要件に合うか確認します。社長本人の資格・実務経験が、申請する業種の要件に合うか確認します。
勤務状況営業所への常勤性・専任性を確認します。他社の名義だけを借りることはできません。

現場で長く働いた経験があっても、経営経験を満たすとは限りません。また、経営経験があっても、すべての業種の技術者になれるわけではありません。過去の立場、期間、工事内容と、証明できる資料を確認します。

本人が現場の主任技術者も務める場合は、営業所技術者等との兼任について、別の条件の確認が必要です。現場の場所、契約内容、担当する工事などを確認してください。

人数・兼任以外にも、財産的基礎、営業所の実態、誠実性や欠格要件などを満たす必要があります。準備する順番が分からない方は、元請から許可を求められたとき、何から始めるかをご覧ください。

従業員がいなければ、社会保険に入らなくてよいですか?

個人事業主と法人を分けて確認します。許可で確認する社会保険は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険です。埼玉県の手引き16ページでは、適用除外になる場合を除き、適切に加入していることを求めています。加入義務がない「適用除外」と、加入義務があるのに「未加入」であることは違います。

従業員なしの個人と、役員報酬を受ける社長一人の法人の基本的な違い
保険個人の一人親方社長一人の法人
健康保険従業員を雇わない個人事業所は、事業所としては原則適用除外。本人は国民健康保険・加入条件を満たす国保組合など、本人に適用される医療保険に加入します。役員だけでも、原則として事業所の加入手続きが必要です。国保組合を継続する場合には、健康保険の適用除外承認などを確認します。
厚生年金保険事業主本人は、個人事業所の従業員として加入することはできません。通常は国民年金の対象です。従業員がいなくても、原則として加入が必要です。法人化しても国民年金だけでよいとは限りません。
雇用保険事業主本人は加入対象ではありません。労働者がいなければ、事業所は適用除外です。代表者本人は通常、加入対象ではありません。役員だけで対象となる労働者がいなければ、適用除外です。

年齢、役員報酬、他社での勤務、国保組合の加入条件などで取扱いが変わります。無報酬の役員しかおらず、被保険者になる人がいない法人については、日本年金機構が適用を受けられない場合を示しています。無報酬の場合には、許可要件である常勤性をどの資料で証明するかも、県へ確認する必要があります。

一人会社の健康保険・厚生年金は、日本年金機構の適用事業所の案内で確認できます。従業員を雇うときは、人数や勤務条件によって加入義務を確認し直します。健康保険・厚生年金は年金事務所、雇用保険はハローワークに、現在の事業形態を伝えて確認してください。

建設国保などの国民健康保険組合は、市町村の国民健康保険とは別です。法人で国保組合を使う場合に必要な適用除外承認は、厚生年金まで不要にするものではありません。

一人親方の労災保険も、許可の要件ですか?

上で説明した社会保険の確認と、仕事中のけがに備える労災保険の特別加入は別です。埼玉県の許可要件として確認するのは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入・適用除外です。

労災保険は、基本的には雇用される労働者を対象とします。事業主である一人親方は通常の労災の対象にならないため、一定の条件のもとで特別加入する制度が設けられています。特別加入によって、一人親方も対象となる仕事中の事故などについて労災保険の補償を受けられるようになります。詳しくは厚生労働省の特別加入制度の説明をご確認ください。

元請から特別加入の証明を求められる場合には、現場入場・取引上の条件として、必要な書類と提出先を確認します。許可の申請書類と一緒に考えず、「どの保険の、どの証明を求められているか」を聞いてください。

建設業で保険加入を確認するのは、けがが多いからですか?

仕事中のけがへの備えは大切ですが、社会保険加入対策の目的はそれだけではありません。国土交通省は、技能者の老後やけがの際の保障を改善することと、必要な保険料を負担する企業が不利にならない競争環境を整えることを挙げています。国土交通省の一人親方問題に関する検討会に、その背景が説明されています。

健康保険は医療、厚生年金は老後など、雇用保険は失業など、労災保険は仕事や通勤に伴う災害を対象とします。加入の必要があるかどうかは、事業形態や働き方によって確認します。

一人親方として請け負う働き方は、認められていないのですか?

一人親方として独立して工事を請け負うこと自体を禁止するものではありません。問題になるのは、実際には雇われて働いている人を、一人親方や業務委託として扱い、保険料の負担や労働法上の義務を避けることです。

請負契約書や請求書があるだけで、自営業者と決まるわけではありません。仕事を断れるか、作業方法について具体的な指揮命令を受けるか、時間や場所がどの程度指定されるか、報酬がどのように決まるかなど、実際の働き方について、複数の事情を確認します。一つの項目だけで労働者かどうかを判断しません。

国土交通省の「一人親方に関する基礎知識」(令和8年3月)でも、請負と雇用の違い、実態が労働者である「偽装一人親方」について説明しています。建設業許可を持つことと、労働者に当たるかどうかは別です。特別加入をしたから雇用の問題が解決する、というものでもありません。

契約と実態が違うと思われる場合には、契約書と普段の作業指示・勤務記録などを用意して、労働基準監督署などへ相談してください。

申請を考えるとき、何を手元に用意すればよいですか?

まず、自分の経験と働き方を確認できる資料を探します。資格や経験の証明に必要な範囲は、申請する業種や過去の立場によって変わります。

  • 請け負う工事の内容見積書・契約書・注文書など。必要な許可業種を確認します。
  • 経営経験と技術者の資料過去の確定申告書、登記事項証明書、工事契約資料、資格証や学歴資料など。経営経験と工事の実務経験を分けます。
  • 営業所・勤務・保険の資料営業所の使用状況、他社勤務の有無、保険の加入状況や適用除外承認の有無を確認できる資料など。
  • 財産を確認する資料直近の決算書や預金残高など。申請に使う証明書の種類や日付は、取得前に確認します。

一人で申請するときは、どこから確認しますか?

司法書士・行政書士の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

まず、個人で申請するのか、法人で申請するのかを確認してください。本人が経営と技術者の要件を満たすか、普段の勤務状況と資料で確認します。保険について元請から指示がある場合には、求められた保険名と書類も教えてください。

一人親方・一人会社の新規許可を検討する方へ

本人の経験・資格で申請できるか、資料で確認します

  • 申請業種に必要な経営経験・技術者の要件を確認する
  • 本人が兼任するための勤務状況と証明資料を確認する
  • 現在の保険と事業形態を確認し、年金事務所等に確認する事項を具体的に示す

判定チャットで工事内容・経験・資格について答えると、追加で確認する項目が分かります。申請できるかどうかは、実際の資料と勤務状況を確認して判断します。

建設業許可の判定チャットを使う資料を見ながら確認したい方は、お問い合わせから、個人・法人の別と申請したい工事内容をお知らせください。

関連するQ&A

許可を取るためだけに従業員を雇う必要がありますか?

本人が経営業務の管理と営業所技術者等の要件を満たし、ほかの要件も満たせば、一人でも申請できます。足りない要件が何かを確認してから、必要な体制を検討してください。

従業員がいなければ、一人会社も国保・国民年金でよいですか?

法人は、役員だけでも原則として健康保険・厚生年金の加入が必要です。国保組合を継続する場合は適用除外承認などを確認します。個人の一人親方と同じ扱いにはなりません。

別の会社で働きながら、一人親方として申請できますか?

他社での勤務や専任職の状況と、自分の営業所での常勤性・専任性を確認します。副業であれば必ず取れる、または必ず取れないとは一律に判断できません。

保険の加入だけ済ませれば、許可は取れますか?

保険は確認項目の一つです。経営経験、営業所技術者等、財産的基礎、営業所などの要件も確認します。